二. うみとの出会い
彼女の名前は不明、住んでいた場所も不明…・…。
彼女は、列記とした記憶喪失になっていた。
ソールは、彼女にうみと名前をつけ、一時の間を共に過ごす事を決意する。
その様子を見た、危水家の二人は、家に連れて帰るようにいった為、ソールの部屋でうみも一緒に暮らすことになった。
ともみとはいえないものの、希望をもったソールは見違えるように元気になっていた。
数日間、うみはソールの部屋で待機して、ソールが帰ってくるのを待っていた。
家に帰ったら、話をしたり、食事にいったり、二人してドラゴンで夕日や夜景を見に行くこともあった。
そんな些細なことが、うみには楽しかった。
それがいつまでもつづくものだとは思っていなかったし、ソールが自分のことを大切にしてくれるのは、ともみの代わりなんだということも知っていたけど。
その日は雨で、うみはソールに傘を届けにいった。
ノイルでは、ともみが生き返ったと大騒ぎ。
うみは、ともみの大きさに驚いた。
自分とは別の…・…同じ姿形をした人間。
似ているのに、環境はまったく違っていて、泣いてくれる友達や、喜んでくれる友達が、とてもとても羨ましくうみには思えた。
その日うみは、春や鈴達、ほかスノウやダリアといったノイルのメンツの晩餐で、ソールとの関係を聞かれる。
しかし、二人の関係は、よく兄妹に似ていた。
でも、ソールは、兄妹よりも恋人のほうが、一緒にいれる時間は長いという。
うみは、初めてソールに我侭を言った。
恋人になってほしい。
ずっと一緒にいてくれる人が、たったの一人でいいから欲しかった。
そのうみの言葉を、ソールは断った。
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