八.身代わり
敵より人数が多いが、あきらかにこちら側は押されていた。
その証拠に、相手側にはミナトを除いて全員かすり傷一つない。
それに比べると、負傷者や戦闘不能者がいて、それどころか勝機のありそうな雰囲気もない。
ダリアは、今回の目的であるともみが本当に死んだのかという真相を聞いた。
いつ、どうやって、どんなふうに殺したというのかを。
そのダリアの質問に、深海は楽しい思い出でも語るように途中までをはなし、最後にまだ未練があるかのように心臓をとる前にともみが死んだことを話した。
ダリアの質問後、先に強い結界を張ることができるダリアを消そうとミナトが手をくだし、重症をおったダリアはノイルへ先に飛ばされる。
話を聴き、ダリアを戦闘にさせられたソールは、激怒して突っ込む。
今まで全然戦いの相手をしていなかった深海が、ソールと戦う。
接近戦が得意な深海は、まるで考えのないソールの体に、表面では知ることのできない痛みを伴わされる。
目の血管を切られ、足の神経をちぎられ、腕の骨をねじられ…・…。
とうとう身動きできなくなってしまった。
正直、かなりの不健康体質のソールは、いきのいい臓器を体からもぐことが好きな深海にはお気に召さなかったようだが、最後にソールの大切な一部をちぎる事を考える。
絶対絶命のピンチ、手はソールの心臓へ一直線。
その手の前に、さっと人が現れた。
それは、ともみと同じ姿形をしていても、ただの人間。
どんなに気を張っても、能力者と比べることもできないか弱い生き物。
しかし、深海はうみの登場を心より喜んでいた。
ともみで見れなかった心臓を、ともみのクローンが見せてくれる。
暖かな感触がした。
身動きのとれないソールの前で、その暖かなそれは、大きな絶叫と共に目の前に披露される。
うみは、動けずうずくまっていたソールの上に崩れると、そのまま即死した。
PR
トラックバック
トラックバックURL: