九.強制帰還
うみは、死んだ。
心臓をえぐられ、死んだ。
ソールは、心臓を戻せとわめき散らす。
何度も何度も叫び、ソールはうみの心臓を取り返した。
正確に言えば、深海はソールにそれを投げつけただけなのだが…・…。
ニルは、ソールと他の仲間達を戻した。
明らかに、勝ち目のない戦いだった。
皆がシンと静まり返る中、ソールだけはうみを助けることに必死、まだかすかに脈打つ心臓を、まったく心臓をとりだした外傷も血も見られないうみに戻すと言い出す。
そんなソールを見てられなくて、何度も愛理はソールにうみは死んでいることを教える。
ソールは、自分の心臓でなら生き返るかもしれないとか、まだ可能性はあるはずだと、一人だけうみにしがみついて離れなかった。
しぶしぶ、愛理がうみの心臓を戻す手術に手をかすことになり、うみの体にはやっとのことで心臓が戻った。
が、もちろんそれでうみが生き返るわけがない。
うみはもう、永遠に目を覚ますことはなかった。
ソールは、そんなうみをどこか遠くの花が咲き乱れる綺麗な丘へ埋めて冥福を祈った。
最終的に、ともみは死んでいた。
うみも助けられず、ダリアも重症。
ソールは、誰も守れていない。
だから、誰もそんなソールに手を差し伸べて、元気をだせと言う人はいない。
再び、ソールは病室にこもり始める。
そんなソールに、再び誰の声も届かなくなってしまった。
病室で自分を責め、許しを請う。
そんな事の繰り返し、もうソールは、自分の足で前には進めない。
うみ の まとめ (完)
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