六.最後のあがき
それから、「きたる日」というともみを殺すまでの間、案外何もなく過ごした。
敵なのに、一緒にご飯つくったり、会話を楽しんだりすることもあった。
そんな中で、今いるメンバーが海賊ということを知った。
白衣を着た男深海、変身能力を持ったミナト、いつも考え事をしているイカリ、唯一の女の子トマリ、ともみを見る目がいろんな意味で怖いトク。
この人たちが本当にともみを殺す日があるんだろうかと、疑わしく思いつつも、その日はゆっくりと近づいてきて、とある日に深海はともみを殺すと言い出した。
ともみは、うみの手を握って海賊船から逃げ出すことを決意する。
深海が、皆に殺すように言うが、誰も二人を殺そうとはしなかった。
なので、深海一人がともみの命を狙う。
深海は、恐らく海賊の中でも1.2の強さで、その能力は未知数だった。
ともみの弾丸をくらっても、平然と体内から玉を素手でとりだす。
切りつけても、あっという間に止血する。
深くきりつけようとすれば、接近した際にこたらがわの神経をちぎられる。
直接手を体内にいれているはずなのに、それはまるでそうでないかのようにそれ自体にはまったく痛みを感じないようだった。
あっという間に追い詰められ、ともみは最後にこうつぶやいた。
「あたしはいいけど…・…こいつまで殺すことはないだろ!?」
諦めの言葉だった。
そのともみの言葉に、深海は条件をだす。
ともみが死ぬまで、うみは開放する。
それまでに逃げ切ったらうみは自由、ともみがすぐに死んでうみが捕まるようならうみも殺す。
というもの。
ともみは、その条件をのんで、変態衣服の深海に体内の臓器を一つ一つとりだされるという拷問の挙句、心臓を取り出される前に絶命する。
うみは、海の中に飛び込み必死で泳いだ。
そんなうみの背中を後押しするように、臓器を強引に体外へ出される悲痛の叫びと、それでもうみに逃げるように必死で叫ぶともみの声。
そんなともみの声が、神様にでも届いたのか、幸運なことに、海賊船の付近にたまたまいた船に助けられ、ギリギリのところで命拾いする。
最後にうみが見たともみの最後は、深海の手によってとられた臓器ひとつひとつを海面に投げ捨てる場面だった。
一番最後に、もう永久に指一本動かすことのなくなったともみの体が、ザパンと大きな音をたてて投げ捨てられて、ゆっくりと水面から沈んでいく姿だった。
大きな悲鳴を聴いて、深海はニヤリと笑ってこう言った。
「次会うことがあれば、次は君の番だよ…・…」
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